初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「それがね、零さまの許嫁だって言われてたあのご令嬢が、婚約したんだって。しかもその相手が、零さまの異母兄なんだって~! もしかして、奪略婚じゃないかって、すっごい話題になってるみたいなのよ!」

(ええッ!? 零さんのお異母兄さんと紫帆さんが!?)

 零からも紫帆が婚約間近だとは聞いていたが、なるほどそういうことだったのか。

 だからこそ、これまで許嫁について、敢えて明言を避けてきたのだろう。

 婚約を機に大々的に公表したのは、創立記念日に催されるというイベントのPRも兼ねているからに違いない。

 遥奈は驚きながらも、どこか納得していた。

 何より、零にとって紫帆が形だけの許嫁で、ただの幼馴染みでしかなかったというのが証明された。

 ホテルで、親密そうな二人を目にした時から、心の奥底でずっとモヤモヤしていた感情が晴れてゆく。

(――ああ、早く零さんに会いたいなぁ……)

 遥奈は、仕事に励んでいるだろう零へと想いを馳せていた。

 そんな遥奈を置き去りに、看護師トリオの話は大いに盛り上がっていた。

「見てみて、この記事。零さまの異母兄も、タイプは違うけどメチャクチャイケメンだから~!」
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