初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 そんななか、周囲を観察するように眺めながら考察を交えた真摯な感想を口にする零に、笑いが込み上げる。

 目にしたのは数回だが、電話などで仕事の対応をする零の姿を思い出したせいだ。

 この二カ月でわかったことがある。

 それは、零が仕事にストイックなこと、そして仕事となると、人が変わったように目つきが変わることだ。

 甘やかなヘーゼルアイが鋭く精悍さを増す様子は、男らしくてぞくりとするほどだった。

 運転手兼秘書業務を担っている――友成の話では、零がこんなにも感情を曝け出すのも、甘い雰囲気を醸し出すのも、遥奈にだけだという。

 職場では立場上、業務が円滑になるように、表面上はにこやかに振る舞っていても、目だけは笑っていないらしいのだ。

 零が役職に就いた当初、英国本部に優遇してもらうための駒にするため、零に媚びへつらい神輿を担ごうとした役員がいたそうだ。

 そういう役員への牽制や零に擦り寄る女性社員につけいる隙を与えないためでもあるようだが……

 自分にだけ、気を抜いた素の部分を見せてくれているのだと思うと、頬が勝手に緩んでゆく。

「ふふっ、さすが零さん。見ているところが違いますね」

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