初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 アペリティフのシャンパーニュにはじまり、アミューズ、オードブルと運ばれてくる料理は、見た目も綺麗で美味しいものばかり。ポワソンのオマール海老のポワレとヴィヤンドの黒毛和牛のソテーも絶品だった。甘いものに目のない遥奈にとって、デセールとして提供された、洋梨のタルトにバニラ・チョコ・ピスタチオのアイスが添えられた一皿が強く印象に残っている。

 零との穏やかなお喋りを交えながらの贅沢なひとときに、遥奈の身も心も満たされていた。

 そろそろ部屋に移動かと思われたその時、零から思いがけない言葉が届いた。

「部屋に行く前に、遥奈にどうしても見せたい景色があるんだ。少し歩いてもいいかな?」 

 先ほどまで柔和な笑みを浮かべていた零のどこか緊張した面持ちに、遥奈はドキリとする。

「なんだかぼんやりしてるようだけど、酔っちゃった? 大丈夫?」

 反応できずにいると、零に優しく気遣われて納得する。

(きっと、この慣れない場所の雰囲気に酔ってるんだ)

「はい、少し。でも大丈夫です。雰囲気に酔っただけだと思うので。それより、どんな景色か楽しみで仕方ないです」

「じゃあ、行こうか」

「はい」

 店を後にした遥奈は、腰に手を添えた零に導かれるままにプライベートエレベーターへと乗り込んだ。

 そうして到着したのは、ブルーアワーの蒼い空が広がる屋上テラスだった。

「わぁ、素敵~!」

 視界一面に映し出されたロマンティックで幻想的な光景を前に、遥奈は思わず感嘆の声を漏らしていた。

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