初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
真剣な表情に切り替わった零が正面に向き合ってくる。そうして、真剣な声音で言葉を紡ぎ出す。
「欧州の物語では、昼と夜の境界は〝運命が動く時間〟だとよく表現されているんだ。だから、運命が動き出すこの瞬間に、遥奈との未来を動かしたい。絆を揺るぎないものにしたいんだ」
ホテルに到着した際、緊張感を孕んだ零の表情に、微かな違和感を感じていた。
ここにくる際もそうだ。
——だけど、まさかプロポーズだったなんて……
にわかに信じられない。確かめられずにはいられなかった。
「え……それって……」
正面の零を凝視したまま遥奈は微動だにできずにいる。
だって、付き合い始めてまだ二カ月足らずだ。本当に? 夢じゃない?
——嬉しい。でも、このまま受け入れてしまってもいいのだろうか……
だって、零は世界最大のホテルチェーンの御曹司で、自分は一般人でしかないのに。
そんなの許されるのだろうか。零のご家族に受け入れてもらえるのだろうか。
これまで考えないようにしてきた現実が一気に押し寄せてくる。
すると、零が遥奈の足元で片膝を突いて跪いた。