初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
どんな雲にも銀の裏地が付いている
夢のようなプロポーズから数時間後。遥奈と零はインペリアル東京の最上階にあるスイートルームにいた。
寝室の大きなベッドには、初夜を迎えた新婚カップルを出迎えるかのように、青い薔薇の花弁でドレスアップされていた。
中央には、濃淡で揃えられた青い薔薇の大きな花束が飾ってある。
なんと一〇八本。プロポーズと同じ『結婚してください』という意味を持つ本数だ。
なんでも、零はプロポーズの際に遥奈に手渡そうと考えていたらしいのだが……
「それは物理的に無理かと。最悪、重くて受け取ってもらえなかったら、どうするおつもりですか? それこそ、折角のムードがぶち壊しでございます」
いつも感情を排した無表情で付き従えている友成に呆れ顔で止められて、断念したらしい。
「それでも、俺の気持ちを知っていてほしくて、遥奈にどうしても受け取ってほしかったんだけど……。やっぱり、重すぎるよね? 引くよね?」
いつになく自信なさげに照れくさそうに、ボソボソと告げる零に、遥奈はますます心を惹きつけられていた。
(零さんってば、可愛い。でも、大人の男性に対して、可愛いって言うのは失礼だよね)
ひっそりとそう考えていたのは内緒だ。