初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「嬉しいけどダメだよ。遥奈にこれ以上無理はさせられないから。それにこれからのことも話したいしね。聞いてくれる?」

 ところが零から予想外な言葉が届き、遥奈の胸はトクンと甘い音色を奏でた。

 ——こんなにも想ってもらえて、幸せだなぁ……

 遥奈はそんな心持ちで話を促すのだった。

「はい、どうぞ」

「その前に、例の取材のことで話しておきたいことがあるんだ」

「初めてなので緊張はしますけど、しっかり努めますね。だから、立ち会わなくても大丈夫ですよ」

 立ち会う予定だった零の都合が悪くなったのだと思ったのだが、そうではないようだ。

「いや、実は、宣伝も兼ねて、ぜひ顔出しも、と言われていたんだ。でも、遥奈を客寄せのために利用するのが嫌で、顔出しはNGにするよう改めて指示を出したんだけど……」

 友成の話では、担当のライターが結構やり手の女性で、押しの強いところがあるのだという。どうも零は、それが引っかかっているようだ。

 いつになく歯切れの悪い口振りで、困ったように話す零。

 おそらく、押しの弱い遥奈では、あっさり顔出しを許してしまうのではないかと、案じているのだろう。

 だからこそ、多忙なのに立ち会おうとしてくれているに違いない。

 零の気持ちは嬉しいが、自分のために無理はしてほしくない。

 自分にできることなら、何でも協力したい——そう思っているぐらいだ。

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