初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
——平凡な容姿の自分が顔出しになったところで、騒がれるわけじゃなし。どうってことない。
「心配しなくても大丈夫ですよ。仮に、顔出しになったところで——」
そう思い放った言葉は、零の言葉によって遮られてしまう。
「ダメだよ遥奈。顔出しなんて絶対にさせない。遥奈が何と言おうと、俺の考えは変わらないよ。遥奈は俺の婚約者になる大切な人だ。 だから、正式に公表するまでは、無理に顔を出す必要なんてない。公表しても、実名は出さないし、極力負担にならないようにする。何があっても俺が遥奈を守るから——安心してほしい」
「……零さん」
怖いぐらい真剣な表情で紡がれた零の揺るぎない言葉に、胸を打たれた遥奈の目頭が熱くなる。
けれど、こんなことで泣いている場合じゃない。
——これからは、零の婚約者として相応しくあれるよう、強くならないといけないのだから。
「零さんの気持ちはとっても嬉しいです。けど、守られるだけなんて嫌です。私も、零さんの婚約者として、相応しくあれるようもっと強くなりますから……。私にも、少しは背負わせてくださいね」