初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零の婚約者として、決意を固めた遥奈の言葉に、零が一瞬瞠目して固まった。
けれどすぐに我を取り戻した零が、しっかりと受け止めてくれる。
「……遥奈、ありがとう。けど、無理はしないで欲しい。いいね?」
「はい。零さんも無理しないでくださいね」
「うん、わかってるよ」
——きっとこれからも、こうして絆を深めていくんだろうなぁ。
密かに零と歩んでゆく未来に想いを馳せていた遥奈の意識に、再び零の言葉が届いた。
「遥奈のご家族に、きちんとご挨拶をさせて欲しいんだ。できるだけ早くと思っているんだけど、いつ頃がいいか、聞いてもらえるかな?」
いよいよ家族への挨拶について話そうという段になって、サイドチェスト上に置いてあった遥奈のスマートフォンがブルブルと震え出す。
「はい、聞いておきますね。あれ? メールかな?」
「電話のようだね。急ぎだといけないから、どうぞ。俺のことは気にしなくていいから」
「あっ、はい。すみません」
零に断って、スマホを手に取り画面を確認すると、意外な人物からの着信を知らせていた。
幸せ一色だった遥奈の心に、たちまち暗雲が立ちこめる。
(お兄ちゃんから、私に電話なんて、珍しい。もしかして、お父さんかお母さんに何かあったんじゃ……!)