初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零は背後から遥奈を包み込んだまま耳を傾けてくれていた。
「昔は、そうでもなかったんですけど。ピアニストになる夢を諦めて、実家のホテルの後継者として祖父に指導されるようになってから、高圧的になって。兄に高圧的な言葉を向けられるだけで、萎縮するようになって……。夢を諦めてまで家業を継いだ兄への負い目もあって、余計に……」
そこまで話すと、零は激情を抑え込むようにワナワナと身体を震わせる。
「そうだったんだね。それで、あの時も……」
零は初めて会った時の事を思い出しているようだ。
それでも自分を怖がらせないように、感情を抑えてくれているのがわかる。
「だから、何か強いられても……また、言いなりになるんじゃないかって……怖くて——」
だからこそ、零にすべてを曝け出せたに違いない。
「遥奈、もう、いい。もういいよ。遥奈は何も悪くないし、負い目を感じる必要もない。後は俺に任せて? 俺が何とかするから」
——でも、零に守ってもらいたいわけじゃない。