初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる

「そんなの嫌です。零さんのおかげで、もっと強くなりたいって、婚約者としての覚悟を決めたのに。このままじゃ、何も変われない。このままじゃ、零さんの婚約者として相応しくなれない。そんなの絶対に嫌」

 ——ちゃんと兄と向き合って、自分の力で解決したい。そうでなきゃ意味がない。

 だからこそキッパリ告げたのに、零から予想だにしなかった言葉が返ってくる。

「なら、俺にも背負わせてほしい」

「——っ!?」

 まさかそんな言葉をかけてもらえると思わず、遥奈は息を呑んだ。

「さっき俺に言ってくれたよね?『婚約者として、相応しくあれるようもっと強くなりますから……。私にも、少しは背負わせてくださいね』って。俺、凄く嬉しかったんだ。だから、俺にも少しは背負わせてよ? 遥奈と一緒なら、俺、なんでも叶えられると思う。だから一緒に。ね? そうしよう?」

 心を大きく揺さぶられた遥奈は、涙を堪えて頷くのがやっとだ。そんな遥奈を零は逞しい腕にぎゅっと力を込めて抱き寄せた。何があっても一緒だというように――

 翳っていた遥奈の心に、揺るぎない希望の光が静かに灯った瞬間だった。

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