初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
婚約者として


 兄から電話があった日から、三日後の水曜日。遥奈は再びインペリアル東京の最上階にあるスイートルームにいた。

 取材開始時間は午後二時半だったので、午前の診療を終えてからでも時間的に余裕があった。

 なので、零が私室にしているスイートルームでシェフ特製のスペシャルランチを零と共に楽しんでいるところだ。

 と言いたいところだが、初めての取材に緊張しきりの遥奈は、味など全くわからない。

 ——兄のこともあるのに、これでは先が思いやられる……

 せっかく零が取材前の緊張を解きほぐそうとランチに誘ってくれたのに、申し訳ない。

 最後の一口を咀嚼してゴクリと嚥下したところで、零から声がかかった。

「遥奈、やっぱり、かなり緊張してるみたいだね?」

 言われたとおりなので、苦笑を漏らしつつ正直に告げる。

「……情けないことに、味も全然わからないぐらいで。せっかく誘ってもらったのに……ごめんなさい……」

 最後に頭を下げて謝罪の言葉を口にした遥奈に、零から意外な言葉が返された。
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