初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 その分、長い待ち時間になってしまうが、AIを導入した診療システムのおかげで、その点も解消されている。

 スマートフォンにアプリをダウンロードすれば、診察時間が近づくと通知が届くので外出が可能だからだ。

 心療内科は他の科とは違い患者のプライバシー保護にも重視している。診察室は他の診察室とも離れており、防音性にも優れている。

 おまけに、診察時は医師と患者の二人きり。

 次の診察があの男だと思うと、否が応にも緊張感が高まっていく。せっかく穏やかな気持ちになれていたのに、胸がドキドキしてきた。

 遥奈は少しでも心を落ち着けようと眼鏡をかけ直して深呼吸を繰り返す。

 しばし精神統一に励んだ甲斐あって、いくぶん気持ちも落ち着いてきた。

 今一度ふうと息を吐いた遥奈は、モニター画面にこれから診察する患者――神楽木零の電子カルテを表示させた。

 平静を取り戻したものの、新たな難問が立ちはだかる。

(医者である友人としてって、どう接するのが正解なんだろう……)

 遥奈が頭を悩ませているところに、患者を先導してきた看護師が扉をノックする音が耳を掠めた。

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