初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
それから、一時間ほどで取材も滞りなく終えることができた。
ライターとカメラマンは慣れた手つきで機材を片し、挨拶も済ませてすでに退室している。
そんな中、仕事モードの凜としたものではなく、二人の時間限定の甘い雰囲気を纏った零が労いの言葉をかけてくれた。
「遥奈、初めての取材、よく頑張ったね。お疲れさま。とってもよかったよ」
「……そ、そうですか? 正直いっぱいいっぱいでしたけど、お役に立てたなら、嬉しいです」
途端に、強張っていた肩からすっと力が抜けていく心地がする。
どうやら思っていた以上に、緊張していたらしい。
「俺しかいないんだから、もう気を張らなくてもいいよ。疲れただろうと思って、お茶を用意させたから少し休んで。帰りは送っていくから、ね?」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
優しい零の気遣いに、申し訳ないという気持ち以上に、嬉しさが込み上げる。
もう少し零と一緒にいたいと思っていたからだ。
——もしかして、零も同じ想いでいてくれるのかな。
なんて考えただけで、胸の奥がじわりとあたたかくなる。
そして、何より、零の傍にいるだけで、心から安らいでいる自分に気づかされる。