初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零のエスコートにより、セミプライベートルームからリビングスペースへと案内された遥奈は、アフタヌーンティーを堪能しているところだ。
アンティーク調のテーブルには、たった今運ばれたばかりの、季節限定のメニューで彩られた三段のケーキスタンドと香り高い紅茶が入ったティーポットが並んでいる。
秋の味覚の揃ったケーキスタンドを前に、遥奈は瞳をキラキラさせていた。
しかし、そこまでお腹はすいていないので、全メニューを制覇するのは無理だ。
ゆえに、どうしたものかと頭を悩ませていた。
「下の段から食べるのがマナーなんですよね? でも、全部は食べきれないし……」
それを察した零から声がかかり、遥奈の悩みは解消されるのだった。
「マナーなんか気にせずどんどん食べてよ。あっ、この和栗のモンブランなんかどう? 遥奈が好きそうだよね」
「ふふっ、実は、一番気になってました。でも、マナー的にどうなんだろうって、気になっちゃって」
「なら、これに決まりだね。はい、どうぞ、ゆっくり召し上がれ」
「わわっ、零さん自ら……ありがとうございます。わぁ、美味しそう。いただきます」
零自ら取り分けてくれたモンブランは、見た目にも拘っていて、食べてしまうのが勿体ないほどだ。
けれど、甘いものに目のない遥奈はお洒落なデコレーションを楽しみつつ、秋の味覚もじっくりと味わっていた。