初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「遥斗、もうやめなさい! 遥奈の婚約者の前でみっともない」 

 兄はますます状況が掴めず苛立ちを露わにする。

「はぁ!? 父さんまで何寝惚けたことを」

 応接室は混迷を極めていた。

 それを打破したのは、インペリアル・インターナショナルと皇の両総支配人が調印したパートナーシップ契約書をたかだかに掲げた父だった。

「これを見なさい。もうすでに、零さんのご厚意で『インペリアル・インターナショナル』とのパートナーシップ契約も締結している。もう遥奈が犠牲になる必要はいないし、おまえが責任を感じる必要もない」

「——っ!?」

 契約書を前に瞠目し言葉を失っている兄に、父は契約書を掲げたまま静かに、けれど厳しい口調で続けた。

「いくら責任を感じたからといって、遥奈を犠牲にしようとしたことは、決して許されることではない。おまえには、副支配人を退任して、ブライダル部門を担ってもらう。もう二度とバカな考えを起こすな、いいな?」

 しばし父を見つめたまま茫然としていた兄だったが、やがてすべてを理解したのかズルズルとその場に頽れるようにして蹲った。

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