初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零は兄を正面に見据えたまま静かに口を開いた。
「遥斗さん、勘違いしないでください。あなたにブライダル部門を任せたのは、無用だからではありません。自暴自棄になるのは勝手ですが、責任を放棄されては困ります」
零の凜とした表情にはいつもの甘さはない。経営者としての厳しさが滲んでいる。
項垂れていた兄がハッとしたように顔を上げた。
しかし零は表情を変えることなく淡々とした口調で言葉を続ける。
「皇を立て直すために、ブライダル部門を強化したと聞きました。あなたが提案したそうですね。だが、オーシャンズグループに圧力をかけられた。それだけ、皇が脅威だったということです」
生気をなくしていた兄の目に微かに光が宿り、揺れている。
「相次ぐ燃料や物価の高騰に人材不足が加速した。ホテル業界はどこも厳しい状況が続いています。経営難に陥ったのは、あなただけの責任じゃない」
そこで一度言葉を切った零が、兄を強い視線で射抜いた。そうして発破をかけるように厳しい口調で言い放つ。
「落ち込んでいる暇があるなら、結果を出して貢献してください。インペリアル・インターナショナルは、実力主義です。ヤル気のない社員は要らない」