初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「勤務中ですので、そういったことは控えていただいて、検査結果のほう確認していきましょうか」

「これは失礼。お願いします」

 零からの甘言に会話がおかしなほうに転びそうになってしまったが、遥奈は得意の作り笑顔を引きつらせつつも何とか軌道修正させた。

 これ以上心を乱されないためにも、零の顔を極力見ないように努めながら、検査結果に意識を集中させる。

 先ほどの女性患者同様とはいかないまでも、零を相手にしているのだから、褒めてほしいぐらいだ。

 初診では、帰国したばかりで時差ぼけの関係からか、寝付けないというので、寝付きを良くする漢方薬を処方した。

 その時はそれで寝付けたようだが、仕事が立て込み深夜まで及ぶようになると、神経が高ぶり漢方薬を服用しても寝付けなくなってしまったらしい。

 生活習慣を見直すのが一番だが、忙しいとなかなかそうもいかない。

 遥奈自身、専門医試験に向けての勉強だけでなく、臨床データをまとめたり、スキルを磨くために珍しい症例の論文を読みあさったりしているうちに、時間なんてあっという間に吹き飛んでしまう。 
< 20 / 237 >

この作品をシェア

pagetop