初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
程なくして辿り着いた格式高いルネッサンス様式のチャペルの重厚な扉の前で遥奈は歩みを止める。
チャペルを囲む木々の合間を戯れる小鳥が歌うように囀っている。
耳を澄ますと、春の香りの混じった柔らかな風が頬を優しく撫でてゆく。
零に優しく撫でられているようで、遥奈はうっとり目を閉じる。
この扉の向こうに、零がいる。
共に力を合わせて、夢を叶えようと、人生を共に歩もうと、誓い合った愛おしい人が——
そう思っただけで、心臓がトクンと跳ねた。
(零さん、どんな顔するかな? 紫帆さんが言ったように、駄々っ子みたいな顔? それとも、嬉しそうに子どもみたいな無邪気な笑顔になるのかな?)
想像した途端、胸がキュッと締め付けられる。
ちょうどそこに、スタッフから声がかかった。
「ご準備が整ったようです。よろしいですか?」
「……は、はい」
居住まいを正した遥奈は、深く息を吸いゆっくり息を吐く。
やがて扉が静かに開け放たれ、眩いばかりの光の中央で佇む愛おしい人が姿を現した。
——まるで映画のワンシーンみたい。素敵すぎて言葉にならない……