初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 対の指輪は、零との思い出が詰まった、世界に一つだけの宝物となった。

 いよいよ誓いのキスへと移行し、母がベールダウンしてくれたベールに零の手がかかる。

 分かつものがなくなり、二人の視線が絡まり合う。

 零のヘーゼルアイに見つめられ、遥奈の胸がトクンと甘い音色を奏でた。

 次の刹那、零が遥奈の額にそうっと口づけた。

 零の触れたところから、零の想いが熱と共に伝わってくる。

 ゆっくり離れた零が額に触れたまま小さく囁いた。

「ようやく夢が叶ったよ。ありがとう、遥奈」

(⁉ 今、そんなこと言うなんて、ズルイ……! そんなこと言われたら……)

 ——泣いてしまう。

 思った傍から、遥奈の目に涙が滲んで、今にも零れてしまいそう。

 零が目尻を指でそうっと拭うと、唇にふわりと甘やかなキスを降らせた。

 驚いた遥奈の涙は、跡形なく消えていて、残ったのは零の無邪気な笑顔だ。

 零は、誓いの言葉を早速実行できて、えらく誇らしげにしている。

 遥奈は零の隣で頬を赤らめつつ、この上ない幸せを噛みしめていた。

 こうして無事挙式を終えた遥奈と零は共に手を取り、ライスシャワーの降り注ぐなか、仲良く馬車に揺られて退場したのだった。

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