初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
京香にまで嫉妬する零の言葉に、密かに胸をほっこりさせていた。
だが、ふと脳裏に紫帆の顔が過り、思わず口走ってしまう。
「それを言うなら、零さんにも紫帆さんっていう元許嫁の親友がいるじゃないですか……」
「え? 紫帆は親友っていうより……お互いの目的を果たすための同士って感じかな。紫帆は俺の異母兄との橋渡しが必要だったし。俺は、結婚相手ぐらい自分の意思で決めたかったし。おかげで、こうして初恋相手である遥奈と結婚するっていう夢が叶ったわけだしね」
それだけ、紫帆を信用していたからに違いない。
これまで胸の奥底で燻っていたどす黒い感情が、マグマのように噴き出しそうになる。
なんとか感情を抑えようとしても上手くいかない。
「でも、学会があった日、目にした零さんと紫帆さん、とっても親密そうでしたよ。お互いの名前も呼び捨てだし。ドレスの打ち合わせのときだって阿吽の呼吸で――」
「……遥奈。もしかして……紫帆に嫉妬してる?」
さすがに零も気づいたようだ。
けれど、今さら撤回などできない。遥奈は手で顔を覆い隠すと同時に開き直って俯いた。