初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「もう、ズルイ! そんなこと言われたら、何にも言えなくなるじゃないですか」
「だって、ようやく遥奈と二人きりになれたんだよ。たとえ一秒でも時間を無駄にしなくない。だから、遥奈、お願いだから、可愛い顔見せてよ。ね?」
どこまでも甘やかな声音で乞うように囁かれてしまっては、遥奈に勝ち目はない。
——遥奈とて、零との時間を大切にしたいと思っているのだから。
とはいえ、気恥ずかしいので、可愛げのない言葉しか返せない。
「思ったのと違うっていう苦情は受け付けませんからね」
それなのに、零はヘーゼルアイを蕩けさせて幸せそうな微笑を湛えている。
見蕩れている遥奈の髪に指を滑らせ、後頭部を引き寄せた。
そうして甘やかな声音で、どんなスイーツよりも甘い台詞を囁いてくる。
「俺の奥さんは、素直じゃなくても可愛いから、困る。俺をどこまで夢中にさせたら気が済むの。今夜は一秒も離してあげられないと思うから、覚悟して。俺の世界一可愛い奥さん」
耳にした遥奈の胸がキュンとときめいた。
(——ああ、本当に零さんと夫婦になったんだなぁ)
改めて実感していた遥奈の唇に、零がそっと口づけてくる。
零の織りなす甘いキスによって、遥奈の意識が蕩かされてゆく。
いつしか窓の外には、二人を祝福するかのようにブルーアワーの世界が広がっていた。