初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「ベッドルームに行こうか」
一頻り、零との甘やかなキスに酔い痴れていた遥奈は、その声に静かに顎を引く。
これからのことを思うと、自ずと緊張感が高まってゆく。
いつもどおりに見える零は、遥奈の膝裏に手を滑り込ませて、姫抱きにする。
披露宴を終えて、遥奈も零も、再びウエディングドレスとフロックコートに着替えて招待客を見送った。
当然、遥奈はすぐに着替えるものと思っていた。
だが、せっかくなのだからと、零の強い希望によりお互い挙式と同じ格好である。
ゆえに、零に抱き上げられた瞬間、ドレスの裾がふわりと舞い上がった。
それを気にかける間もなく、零が思いもよらない台詞を投下した。
「ウエディングドレス姿の遥奈を見たときは、天使かと思って焦ったけど……。こうして抱き上げると、お姫様みたいでドキドキするね」
褒められて悪い気はしないが、面と向かって言われると反応に困る。何より、恥ずかしくて堪らない。
「もう……ヤダ。零さんってば、酔ってるんですか?」
可愛くないことしか返せない遥奈に、零はちょっぴり照れくさそうにキザな台詞を呟いた。