初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「そうかもしれないね。遥奈があまりに綺麗だから、酔い痴れてるのかも」
色素の薄い零の耳がほんのりと紅くなっている。
心なしか、視線も逸らされている気がする。
——もしかしたら、零も緊張しているのかも……
自分だけが緊張しているわけじゃないんだ。
そう思うと、するりと素直な言葉が零れていた。
「零さんこそ、とっても素敵です。本物の王子様みたいで、ドキドキしっぱなしですよ」
「なら、もっともっとドキドキしてもらえるように、王子様らしく振る舞わないといけないね」
零も緊張が解けたのか、いつもの調子に戻っている。
「ヤダ、そんなことされたら心臓が保ちませんってば」
「なら、シンマしようか?」
「もう……ヤダ。零さんのエッチ……!」
バカップルのように言い合いながら、二人はベッドルームへと移動した。
零にお姫様抱っこされていた遥奈は、ふかふかのベッドに降ろされ、そこから見える光景に目を瞠る。
なぜなら、中央のチェストには、ホテルのロビーかと見紛うほどの、大きなクリスタルの花瓶に、沢山の青い薔薇が豪快に生けられていたのである。
「三六五本あるんだ」
『毎日貴女を想っています』という特別な意味を持つ本数だ。