初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「こ、こんなの……いつの間に……っ!」
思いがけないサプライズに、胸を打たれた遥奈はそんな言葉しか返せない。
「俺の気持ちをどうしても伝えておきたくて、友成にこっそり用意させたんだ」
すぐにそう答えた零は、一度言葉を切って、茫然とする遥奈の手をそっと手に取り言葉を重ねてゆく。
「遥奈と出逢ってから——これまでも、そしてこれからも、変わらず遥奈だけを想い続けていくから、夫婦になっても、よろしくね、遥奈」
そうして紡ぎ終えると同時に、手の甲にそうっと口づけた。
「……零さん」
心を大きく揺さぶられた遥奈は、そういうのが精一杯。
でないと、泣いてしまう。
『遥奈の笑顔が翳るようなことはしたくないんだ』
『遥奈にはいつも笑っててほしいんだけど、嬉し涙なら、仕方ないか。でもな……』
折に触れ、そう話していたし、誓いまで立ててくれていた。
だから、二人にとっても、皇によっても、門出の日である今日は、できうる限り泣かないようにと心に決めていたのに——
そこまで考えていたとき、とうとう遥奈の頬をあたたかな雫が伝ってゆく。
「もう……せっかく我慢してたのに、泣いちゃったじゃないですかぁ」