初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる



 あの時も遥奈は、兄に辛らつな言葉を投げかけられ酷く怯えていた。

 遥奈の笑顔が翳るところなんて、二度と見たくない。

 いくら夢を諦めて家業を継がなければならなかったからって、妹に当たるのは間違っている。

 夢を諦めて家業を継いだのは、誰でもない自分の意思なのだから。

 半年前、遥奈が兄と向き合おうとした時にも、遥斗は高圧的だった。

 そのせいか、遥斗に対して、未だ零は嫌悪感を抱いたままでいる。

 そもそも、遥奈が許したから、渋々了承したにすぎない。

 ゆえに、遥奈の知らないところで、遥斗にはしっかりと釘を刺しておいた零である。

 あれは、皇とパートナーシップ契約を締結しブランディングを進めるための打ち合わせに参加するため、皇に赴いた際のことだ。

 打ち合わせ後、遥斗の方から謝罪したいと声をかけてきた。了承した零は、応接室へと通された。

 そこで、念のために牽制の意味でも釘を刺したのである。

『遥奈さんが許しても、私は決して許すことはできそうにありません。正直、貴方とどう関わるべきか、計りかねています』

『……当然だと思います。それだけの事をしたのですから』

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