初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「……あっ、はい。あんまり素敵で……。見蕩れているうち、胸がいっぱいになっちゃって」
結婚前と変わらない零の優しい心遣いも相まって、ほろりと心が解けてゆく。
気が緩んで泣かないように、遥奈はぐっと頬に力を込めた。
程なくして、インペリアル東京・憩の責任者である零が挨拶のために登壇していく。
その様をステージの脇でスタッフ等と見守っていた遥奈は、思わずほうと息を呑んだ。
今日の零は、上質なライトネイビーのシックなスーツに淡いブルーのネクタイとアイスブルーのポケットチーフを合わせた、夏らしく爽やかな装いに身を包んでいる。
——あたかも銀幕から抜け出したスターのよう。
中央に佇んだ零とふと視線が交わった刹那、凜とした空気に甘さが滲む。
凜とした空気に呑まれて緊張感に苛まれつつあった遥奈の心がふっと和んだ心地がする。
そこに零の凜とした低い声音がテラス内に響き渡った。
「本部である英国をはじめ海外で好評をいただいております、医療特化型ホテルをようやく日本で展開できましたこと、大変嬉しく思っております。都会の喧騒から離れて、非日常の癒やしの空間を心ゆくまでご堪能いただけますと、幸いでございます」
神々しいオーラを纏う零の姿に見蕩れていた周囲から、拍手の嵐が巻き起こった。