初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「日本エリア統括支配人・神楽木零の挨拶に続きまして——医療監修を担いました、神楽木遥奈よりご挨拶申し上げます」
司会者に促され登壇した遥奈は、中央の零の隣へと歩みを進め、一礼する。
そんな遥奈の装いは、透け感のある肩と袖がなんとも涼しげな、淡いブルーと白のグラデーションが華やかなロングドレスである。
肩までの髪は緩くまとめ上げ、遊ばせた後れ毛が今の季節にピッタリだ。
正面を見渡した遥奈の可憐な姿に誰もが息を呑んだ。
遥奈自身は、零に見蕩れていると思い込んでいるのだが……
その隣で、すべてを把握している零が平静を装いつつ、内心ではヤキモキしていることなど、露も知らない遥奈である。
おかげで緊張感に苛まれることなく、遥奈は穏やかに口を開いた。
「『都心にいながら、オアシスのような癒やしのひとときを』というコンセプトを掲げて進めて参りました。携わっていただいた皆様のお力添えのおかげで、無事この日を迎えられて、感謝の思いでいっぱいです。健康に配慮が必要な方も、そうでない方にも、快適にすごしていただけるよう、各所に工夫を凝らしております。お一人でも多くの方の癒やしとなりますよう、心より願っております。簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます」
深々と頭を下げる遥奈の耳には、割れんばかりの拍手が鳴り響いていた。