初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 ——いやいや、視線を釘付けにしていたのは、零だと思うんだけど……

 自覚のない遥奈は首を傾げるしかない。

「……え? 零がヤキモキするって、どうして?」

「はぁ~……。そうやって、無自覚に首を傾げる仕草まで、愛くるしいなんて……。遥奈は、俺をどこまで夢中にさせれば気が済むの? 最近、夢中になりすぎて、心配でどうしようもないんだ」

「それも、どちらかというと、私のほうだと思うんだけど……」

 ——気が緩むと、未だに零に見蕩れて、ぽーっとなってしまうのだから。

 だというのに、こうして零は時折、心配性を発症させては嘆いていた。

 おそらく、好きがゆえの特殊なフィルターでもかかっているに違いない。

 長年、遥奈への初恋を拗らせて、童貞を貫いていただけのことはある。

 結婚しても変わらずにいてくれる零との結婚生活は本当に幸せで、充実している。

 あまりに幸せすぎて、時折夢ではないのかと不安に駆られてしまうほどだ。

 ゆえに、そこまで想ってくれている零の気持ちは嬉しいけれど、いつか効力を失いそうで、怖くもあったのだ。

 そのせいか、零から「え? 遥奈が?」そう問われて、遥奈の口から本音がポロリと零れていた。

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