初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
このままでは危険だと頭では思うのに、どういうわけか目が離せない。
きっと彼は自分の容姿が人を惹きつけてやまないのを承知で敢えてそうしているのだろう。
――そう思うと、余計に悔しい……
けれど身体はまるで言うことを聞いてくれない。
その瞬間を狙ったかのように、零が形のいい唇を悠然と動かした。
「それなら、友人として、一緒に食事をしてくれませんか?」
零の醸し出す妖艶な色香にあてられたのか、危うく頷きそうになったけれど、何とかさっき言えなかった言葉を紡ぎ出す。
「い、いえ……でも、今は仕事中なので」
「焦った遥奈先生も可愛いですね」
彼の口から言われ慣れない称賛の言葉が零れた瞬間、遥奈は顔を赤らめた。そこに再び彼から甘い声が届く。
「でも、そんなに警戒されたら傷つくな。それとも、意識してくれているから、そう自惚れてもいいですか?」
先ほどの甘いだけの声音ではなく、憂いと挑発的な音が混同しているように聞こえる。
零に意味深な笑みと強気なヘーゼルアイを真っ直ぐに向けられて、遥奈は思わず言い返していた。