初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「い……意識って、まさか、友人に対してそんなわけ」
ない、そう続けようとして、『しまった』と自身の失態に気づくも後の祭りだ。
「なら、決まりですね」
悪戯が成功した少年のような笑顔を湛えた零に嬉しそうに弾んだ声で念押しされてしまう。
零の無邪気な笑顔に抵抗する気力を削がれた遥奈は、魅了されたように頷くしかない。
「遥奈先生と週末も会えるなんて、嬉しいなぁ。今夜はぐっすり眠れそうですよ。詳細は後日連絡しますね」
遥奈が茫然としている間に、遥奈から退いた彼は居住まいを正すと、正面で優美に微笑んだ。
あたかも後光でも差すかのごとくキラキラと輝いて見える。
――まるで、絵画か映画のワンシーンのよう。
またしても視線を釘付けにされた遥奈は瞬きも忘れて見つめることしかできない。そんな遥奈を置き去りにして……
「それでは、失礼します」
零はそう言い置くと、何事もなかったかのように颯爽と診察室を後にしたのだった。