初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「そんなに怒らないでよ。遥奈さんは、出会った頃と変わらず可愛くて、笑顔に釘付けになるほど、とても魅力的な女性だから」
「――ッ‼」
ビックリした遥奈が反射的に顔を上げると零と至近距離で見つめ合う体勢となり、心臓がドクンッと一際大きく跳ね上がる。
大いに狼狽えた遥奈は、何とか気持ちを落ち着けようとグラスを手にしてグビッと一気に中身を煽った。
……だが、喉が焼けるような強烈な感覚に襲われて、それが零のグラスを煽ったせいだと気づいたときには、時すでに遅し。
「遥奈さん、大丈夫? 遥奈さん、しっかりしてっ」
医大時代、初めて口にした酒精で悪酔いして以来、極力呑みすぎないようにしてきた。
ここ数日、寝不足気味だったのもあり、今夜は一滴たりとも呑んでいない。
おそらく、それが災いしたのだろう。
いつになく取り乱した様子の零が自身の名前を幾度も呼び続ける声を耳元で感じながら、遥奈は意識を手放してしまうのだった。