初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「遥奈さん、大丈夫? 無理しちゃ駄目だよ」
「あ、はい。危ないところ、ありがとう……ございます」
転倒せずにすんだものの、逃げ場を失い、何ともいたたまれない心境だ。
「どういたしまして。体調もよさそうで安心したよ。けど、俺のこと煽っておいて帰るなんて、酷いな」
揶揄を孕んだ声音にカッとなった遥奈はとっさに言い返す。
「べ、別に煽ってなんかっ」
「自分が今どんな格好しているか、わかって言ってる? 誤解がないよう言っておくけど。熱いからって、止めるのも聞かずに、服を自分から脱いじゃったんだよ。俺のシャツは水を零して仕方なくだけどね」
「――っ⁈」
苦笑交じりの零の言葉により、自身があられもない姿を晒しているのを思い出す。
しかも、自分から服を脱いだというではないか。
(う……ウソでしょ!? 私ってば何てことを……!)
驚くやら恥ずかしいやらで、遥奈は絶句し固まった。恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうだ。
身体を隠そうにも、零に抱き留められているため叶わない。