初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零から離れたくとも、細身ながらも程よく筋肉のついた身体は逞しく、ビクともしない。
「もしかして、帰るのに必死で忘れてた?」
図星を突かれ、遥奈は羞恥のあまり縮こまる。
零は何が楽しいのか、遥奈を腕に閉じ込めたまま耳元に顔を埋めて、甘く弾んだ声音を響かせる。
「益々赤くなっちゃって、本当に遥奈さんは可愛いなぁ」
「……もう、気が済んだでしょう。だからもう……揶揄わないでっ」
羞恥に耐えかねた遥奈は、目の前の広い胸板を押しやり訴えた。
「怒らせて、ごめん。でも、全部本心だよ。初恋相手の貴女とこうして一緒にいられるのが嬉しくて、浮かれてるみたいだ。みたいだなんて、他人事みたいだけど、こんな気持ちになるのは初めてで、自分でもよくわからないんだ……。それぐらい、好きだよ」
シュンとした声で謝罪してきた零から、照れているのか自嘲気味に放たれた言葉と、切実そうに紡がれた甘い台詞に、遥奈の胸は不覚にもキュンとなる。
だからといって、すべてを鵜呑みにできるわけがない。
初恋相手だといってもそれは昔のことで、今の零のことをよく知らないのだから――