初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「もう何年もこの日を夢見てきたんだ。そんなの無理だよ。でも、安心して。そんなこと気にしている余裕なんて、俺が奪ってあげるから」
零からの予想どおりの言葉に落胆していると不穏なワードが飛び出し、たちまち不安が過る。
「……えっ……?」
――余裕を奪うって……どうやって……
「怖がる必要はないよ。遥奈が怖がることは、絶対にしないと約束する。だから、俺のこと信じて」
だというのに、優美な微笑を湛え優しい声音で甘く囁かれただけで、不思議と不安が薄れてゆく。
これも、零が初恋の相手だからだろうか。
おそらく、英国紳士然とした零に、お姫様のように大切に扱われているせいだろう。
それこそが、零の遥奈に対する気持ちの表れに思えた。
何より、零には大人の男としての魅力だけでなく、余裕と包容力がある。学生だった元カレと比較するまでもない。
「信じてなきゃ、キスなんかしません。だから、速く……お願い……」
零にすべてを委ねるために素直な気持ちを告げれば、零は困ったように笑みを零す。
その様がやけに蠱惑的で遥奈の視線は釘付けとなる。