初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
遠ざかる意識の狭間で


 言葉の意図を察したときには、胸に強い電流でも流されたかのようなすぎた刺激に苛まれた。

「――ひゃッ!」

 けれど、それだけでは足りないというように、執拗なぐらいゆっくり丁寧に愛撫を施してゆく。

 視界がぼやけて、眦には愉悦の涙が滲み始めていた。

 辺りには、淫靡な水音が響いている。

「……はぁ……っ、あ、や……はぁ……」

 それらに混じって、自分の出したものとは思えないほど、艶めかしい嬌声が唇のあわいから零れ落ちてゆく。

 ――恥ずかしくてどうしようもない。

 どうにかして抑えたいのに、あられもない声が止まらない。

「胸だけでこんなに蕩けた顔して、遥奈は可愛いなぁ。こっちはどうかな?」

 ふいに胸への愛撫がやまり、零の声が耳に届いた時には、敏感な場所を探るように撫でられていた。

 触れて確かめるまでもなく、あれほどの快感を得たのだ。濡れていて当然だと思うし。

 ――そんな予感はしていたけれど……

「凄いな、もうぐしょぐしょだよ」

(ま、まさか、こんなにも濡れてるだなんて……信じられない……!)

 零の言葉通り、これほどまでとは思いもよらず、言葉にならない。驚くばかりだ。

 そんな遥奈の意識に、歓喜に満ちた零の声音が割り込んでくる。

「どこもかしこも鮮やかに色づいていて、まるで誘ってでもいるようだ。こんなになるほど感じてもらえたなんて、嬉しすぎて。……っ、今にも達してしまいそうだよ」

 限界が近いのか、何かを必死に堪えるように、麗しい美貌を悩ましげに歪ませて奥歯をかみしめている。

 余裕がないながらも、遥奈のために、己の欲を必死になって抑え込もうとしてくれているのだ。

 遥奈よりも己の欲望を満たすのを優先させた元彼なんかと比べるまでもない。

(ううん。あんな男、零さんと比べる価値もないから!)

 どうして、零を強く拒めないのか、零の提案を受け入れて、すべてを委ねてもいいと思ったのか、わかった気がした。

 ――そうでなければ、いくら初恋相手だからって、こんなにも感じたりしないはずだ。

 ――けれど、今それを認めてしまうのは怖い。

 ――認めるのは、もっとお互いのことを知ってからでないと。

 ――そのためにも、零のことをもっと知りたい。

「なら、今すぐ満たしてください」

 その一心で、涙で滲んだ眼を凝らして、零の表情を仰ぎ見る。

「……っ、いいよ、俺が遥奈を今すぐ満たしてあげる」

 一瞬だけ驚いたのか、目を見張る素振りを見せた零だったが、心底嬉しそうな笑みを湛えてよどみなく答えてくれた。

 零の笑顔は、天使のように綺麗で、眩いばかりに輝いている。

 ――零こそ、天使みたい…… 
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