初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
セフレと初めての
午前一時過ぎ。遥奈は、寝付けず、自宅のリビングダイニングでノートパソコンに向き合い臨床データをまとめていた。
「はぁ……もうこんな時間……」
そろそろ眠くなってもいい頃なのに、睡魔が訪れる気配がまったくない。それどころか、溜息ばかり垂れ流している。
理由は、零にあった。
零と一線を越えてから三週間が経とうとしているのだが……。
零とは『セフレ』なのか、『恋人』なのか、よくわからない曖昧な関係が続いているからだ。
あの後、零から交際を申し込まれるものだと思っていた。
けれど、残念ながらそうじゃなかった。
意識を取り戻した遥奈は、零の腕にふわりと包み込まれていた。
ふわふわと心地よいぬくもりの中で、零から『また、会ってくれるよね?』と甘い声音で問われて、素直にコクンと頷いた。
それこそ、夢心地で。
数時間前まで、『濡れない体質のせいで恋なんてできない』と諦めていた。
それが零によって、『濡れない体質なんかじゃなかった』と証明された。
過去の呪縛からようやく解き放たれたのだ、もう何の憂いもない。
傷を癒し、心身共に満たしてくれた零のことをもっともっと知りたい――そう思えたのだ。
しかも、零は初恋相手で、遥奈にとっては雲の上の存在だった。そんな零と結ばれる日がくるなんて――
そりゃ、夢心地にもなるだろう。
何より、このままずっと零と一緒にいたい。零と離れたくない――遥奈の心がそう訴えてくる。
遥奈にとって、生まれて初めて抱く感情だった。