初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
たちまち、零をとりまく周囲が漫画の主人公のように、ぱああっと一気に華やいだ。
(あ、相変わらず、オーラが凄くて、眩しいっ……! 背景に薔薇でも背負ってるみたい)
遥奈が目を瞬かせている間に、零はわざわざ車から降りてきて、後部座席へとエスコートしてくれる。
流れるような所作は優雅で洗練されていて、まさに英国紳士そのもの。
――英国式? それとも普通のことなの?
恋愛ごとから遠ざかっていた遥奈にはよくわからないが、こういう扱いに不慣れなため、ドギマギしてしまう。
「あ、ありがとう……ございます」
女性の扱いにも慣れているのだろう。
一瞬目を見張った零は歯の浮くような台詞で、褒め称えてくる。
「……あ、ああ、ごめん。遥奈があんまり素敵だから、見惚れてしまったよ。その桜を思わせる淡い色味のワンピース、遥奈の柔らかな雰囲気にピッタリだね。とても良く似合っていて、たまらなく可愛いよ。天使も逃げ出してしまうね」
「――っ」
社交辞令だとわかっているのに、零からの大仰な称賛のオンパレードに、瞬く間に顔が熱くなる。
「……そ、そんな、無理矢理褒めなくても……大丈夫ですからっ」