初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
零から仕事については、『家業の手伝いってところかな』としか聞いていないが、世界最大のホテルチェーンの御曹司である。
零の身なりや立ち居振る舞い、運転手付きの車での送迎から察するに、経営に携わっているに違いない。
そんな立場である零の仕事に自分のような素人が関わるなんて、荷が重すぎるのではないか。そう思うと気が引ける。
零は声をあげて無邪気に笑ってから、悪戯っぽく眇めた瞳で遥奈を見つめてくる。
「ははっ、そんなに気負わなくても大丈夫だよ。視察って言っても、今日はプライベートだし。若い女性の率直な意見を聞きたいだけだから。それに、今日は、若い女性に人気のスイーツ店ばかりだから、遥奈にも喜んでもらえるんじゃないかと思ってのことだしね」
そんなふうに屈託のない笑顔を向けられるだけで、胸がトクンと高鳴ってしまう。
だというのに、言葉の端々に、遥奈を喜ばせたいという想いがありありと窺えて、胸がさらにキュッと甘く締め付けられる。
「あ、ありがとうございます」
遥奈は高鳴る胸を抑えるのに必死で、そう答えるのがやっとだった。