初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 まさか、恋人として紹介されるとは思わず、遥奈は仰天しつつも、何とか取り乱すことなくそれらしく取り繕う。

「ああ、こちらの方が。初めまして、神宮寺駿( しゅん)と申します。お会いできて光栄です」

「……ゆ、柚木遥奈と申します。こちらこそ、お会いできて光栄です」

 だが、内心は大騒ぎだ。

 恋人、しかも結婚を前提にしたお付き合いなんて言うのだから、そんなの驚かないほうがどうかしている。

 心臓はドクドクと騒がしいし、今にも口から飛び出してしまうのではないかと気が気じゃなかった。

 その後、上層階にあるVIP専用の個室へと案内された。

 熟練のショコラティエが手がけた、期間限定のチョコレートと旬のフルーツがふんだんに使われた、贅沢なショコラケーキを堪能した。

 大好物のスイーツに囲まれて、遥奈はようやく一息つく。平静を取り戻した遥奈は、先ほどのことを思い出し、なるほどと納得する。

 先ほどのこととは、将来を約束した恋人として紹介された件だ。

(さすがに、仕事の付き合いがある相手に、「セフレ」だなんて紹介できないわよね……)

 それぐらい考えればすぐにわかるのに、ひどく動揺してしまった自分が情けない。

 ――そんなだから、流されてしまうのだ。気をつけなきゃ。

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