初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
足元の零からホッと安堵の息をつく気配を感じて……
――人気がありすぎるというのも大変なんだな。
そんなことを思いつつ、図書室から退室していく女子生徒らの背中を見送った遥奈の耳に、再び零の声が届いた。
「君のおかげで助かったよ。どうもありがとう」
「あっ……い、いえ……っ」
私は何も。そう続けたいのに、緊張のせいか喉がつっかえて声が出ない。
零は気を悪くするでもなく、ふっと優しい笑みを零した。その様に遥奈が見惚れていると。
「お礼に、これ、あげる」
爽やかな声音でそう言いながら、大きな手のひらを差しだしてくる。
そこには、可愛いパッケージに収まった、ピンクと透明な二種類のキューブ型のドロップが載せられていた。
もらっていいものかと、手を出すのを躊躇う遥奈はそれを見つめることしかできない。
そんな遥奈の手を零はそっと引き寄せると、ドロップを握らせた。そうして――
「これ食べて、頑張ってね。でも、無理しちゃ駄目だよ。熱心なのはいいけど、たまには息抜きも必要だからね」
穏やかな声音で甘やかに囁くと、ふわりと微笑んだ。
まるで可憐な華が綻ぶように――