初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 この出来事がきっかけで、零に対するこの気持ちが恋愛感情なのだと遥奈はようやく自覚したのだ。

 ――そんな優しい零が遥奈の心を弄んだりするはずがない。

 あの時は、余裕がなくて、気づきもしなかったけれど。

『これ食べて、頑張ってね。でも、無理しちゃ駄目だよ。熱心なのはいいけど、たまには息抜きも必要だからね』

 零は、あの時、確かにそう言ってくれた。

 ――『たまには』ってことは、もしかして……

 京香のおかげで、零に想いを寄せていた頃の淡い恋心を思いだし、大事なことにも気づけた。

 京香の言うように、過去の恋に傷ついた遥奈の気持ちが固まるまで待ってくれているのかも……

 ――だったら、ちゃんと伝えたい。

 ――あの頃と変わらず、貴方に心から惹かれていると。

 こうして遥菜は、零に直接、確かめる覚悟を決めた。

 同時に、あの頃秘めていた想いを含めた、今の気持ちを告げる覚悟をようやく固めたのである。


 その後も、零とのやり取りは続いているが……。相変わらず多忙を極めているようで、なかなか会う時間がとれずにいた。

 会えないと思うと余計に零への想いは募るばかりだ。
 
 募る想いを紛らわせるためにも、仕事に勉強にとこれまで以上に励んだ。

 覚悟を決めたからか、思い悩むこともなくとても充実した日々を過ごしていた。

 零に想いを寄せていたあの頃のように――

 そんな日々を経て、二週間後の週末に、零と会うこととなったのだった。

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