初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
この日も、遥奈はいつものように午前の診察を終えて、京香と共に休憩室で宅配弁当を味わっていた。
「この豆腐ハンバーグ、大根おろしのソースがさっぱりして美味しい~。やっぱり夏は和風に限るわね」
「デミグラスも美味しいけど、夏はキツいもんね。毎日お素麺でもいいぐらい」
ここ最近の話題と言えば、宅配弁当のメニューについてがほとんどだ。そのせいか、隣のテーブルでスマホを弄っていた若い男性看護師の大友から突っ込みが入った。
「京香先生。最近、食べ物の話ばっかじゃないですか~。たまには恋バナ聞かせてくださいよ~」
などと言われても、京香は、元彼との縁をスッパリ切って、婚活をはじめたばかりだし……。
「幸せそうな遥奈先生は充実してるみたいだけど。私は残念ながら、何もないわよ」
そう思いつつ豆腐ハンバーグを口に入れると同時に、京香から不意打ちを食らい、危うく吹き出すところだった。
「――ッ⁉」
「えっ‼ マジすか? 俺、聞いてないっすよ。いつの間に……」
何とかリバースという惨事を免れホッとしていると、大友は何故か泣きそうな声をあげてガックリ項垂れてしまった。
――項垂れたいのはこっちだ。