初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「もっとスマートに振る舞うつもりだったのに……。沢渡先生にまで嫉妬して、あんな子ども染みた真似して。みっともないって……自分でも思うよ。挙げ句、一番大切な遥奈の気持ちを置き去りにして、先走ってしまい、本当にごめん」
さっきまで、あんなにも強気に発言していた零の変貌にも驚いたが、沢渡への嫉妬発言への衝撃のほうが凌駕していた。
(ええっ⁉ 沢渡院長に嫉妬? どうして?)
本音を言えば、理由を事細かに聞き出したいところだが……
『もちろん、心得ていますよ。泣かせたりしません。大切にしますよ。神に誓ってもいいです』
今の零の言動から、さっきの言葉に嘘偽りがないとハッキリした。それで充分だ。
今はもっと優先しなければならないことがある――そのための覚悟も、とっくにできている。
零に淡い恋心を抱いていたあの頃からの想いを含めて、今の気持ちを告げるべく言葉を紡ぎ出す。
「驚きましたけど、別に怒ってません。嬉しかったぐらいです。だから謝らないでください。それより零さんに伝えたいことが――」
……つもりが、途中から零の声音に取って代わった。
「遥奈、待って」
抱擁から解いた遥奈の肩を両手で摑んだ零が真剣な眼差しで見据えながら澱みのない澄んだ声音を響かせる。