初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
思春期なのもあって、中学生になる頃には、そのことに心底辟易していた。
言葉は悪いが、自分に群がる女子たちは、零にとってハエも同然の存在だったのだ。
そんな背景もあり、創立記念日だったその日も、零は変装してパーティーに臨んでいた。
変装と言っても、伊達眼鏡をかけたり、髪をいじって、目立つ顔や目を隠すぐらいのものだ。
それでも、効果は絶大で、騒がれることなく穏やかに過ごせるのだから、やらない手はない。
創業者一族として挨拶さえ済ませていれば、どう過ごそうと、誰も文句は言わないのだから。
そんな零は、許嫁であり、唯一無二の親友でもあった、君塚紫帆をいつも伴っていた。
紫帆とは、物心ついた頃からの付き合いで気心も知れていたし、気の置けない存在だった。
見た目こそご令嬢そのものだが、紫帆は男勝りのサバサバ系で、同性のように接することができた。
ちょうどその頃、ある秘密を共有していたのもあり、互いのメリットのためにも、必然的にそうせざるを得ない事情もあったのだ。
「ちょっと、零。今日のそのモッサモサのモップみたいな頭。超、受けるんだけど」
「仕方ないだろ。これぐらいしないと、目の色でバレるんだよ」