初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「遥奈、おまえ何突っ立ってんだよ! さっさと謝罪しろ、ほら。妹が粗相をしたようで、申し訳ございません。お怪我はございませんか?」

 そこに女の子の兄と思しき男が加わり、収束するかと思われた。

 だが、兄は妹の落ち度だと決めつけ、無理矢理妹の頭を手で押さえつけて謝罪させたのである。

 気を良くした酔っ払いは、満足げに「今度から気をつけろよ」そう言うと、ふらつきながら退場していく。

 それを横目に、兄は妹に辛らつな言葉を投げつける。

「あんな酔っ払いぐらいかわせないでどうすんだよ。真っ赤になってあわあわしてたって解決しねーっての。コミュ障らしくおとなしくしてろよな。わー、びしょ濡れじゃん。みっともないから部屋に戻ってれば?」

 妹が萎縮したように俯いて反論しないのを良いことに、これ見よがしに辛らつな言葉を重ねていく。

(兄妹とは言え、いくらなんでも言いすぎだろ! それでも兄か!)

 腹に据えかねた零が思わず立ち上がったときには、紫帆が兄妹の間に割り込んでいた。

「ちょっと! いくら兄妹でもその言い草はないんじゃない? 妹に謝りなさいよっ」

「はぁ? なんだよいきなり」
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