名もなき空に、青い風が吹く
 「僕と芦香が結婚すれば、僕たちはずっと
一緒にいられると思う」

 一瞬、「?」マークが嵐のようにその場を
飛び交った。けれど数秒後、言っていること
を理解した瞬間、パーツを持って、ふぅふぅ
キーホルダーに息を吹きかけていた大翔が
「はっ!?」と素っ頓狂な声を上げ、わたし
はみかんが丸ごと入りそうなくらいポカンと
口を開けた。

 「……いとこ同士って結婚出来るんだ」

 みんなから居心地の悪い視線を向けられ下
を向いてしまったいっくんが、わたしの呟き
に小さく頷く。

 「出来るよ。いとこ同士の結婚は、法律上
なんにも問題ない。しかも僕と芦香が結婚す
ると、大翔は自動的に芦香の親族になるんだ。
配偶者のいとこは四親等にあたるから一緒に
いても不自然なことはひとつもない。芦香が
娘になったら嬉しいって思ってるお母さんと
ならお嫁さんになっても上手くいくと思うし、
ってこれは例えばの話だから、ネットで調べ
てみたらそう書いてあっただけだからそんな
真に受けないでっ!」

 顔を上げ弁解するように言ったいっくんは
耳までまっ赤っかで。例えばの話というのが、
取って付けた言い訳だとすぐにわかる。

 「ふぅん、大翔が親族になるんだ。知らな
かった」

 いっくんと結婚すると大翔が親族になる。

 そんな血族の仕組みを知らなかったわたし
は純粋におどろき、大翔は大層つまらなそう
な顔をして横をつん向いた。

 ふいに話を聞いていた伯母さんが一笑する。

 「確かに、いとこ同士でも結婚出来るけど、
近親婚は遺伝子的なリスクがあるみたいだか
らあんまりねぇ。こんな近場で相手を決めな
くても、これからたくさん出会いがあるわよ。
みんなまだ子どもなんだから」

 それとなくやんわりとお茶を濁した母親に、
いっくんが表情を硬くする。横を向いていた
大翔は隣にいるわたしに聞こえるか、聞こえ
ないかくらいの小さな声で「他人でよかった」
と言った。
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