名もなき空に、青い風が吹く
 「もう一度会って、手を握るのが一番手っ
取り早いんだよね。都合よく視えるとは限ら
ないけど」

 独り言ちて、はーっ、と深いため息を吐く。
大翔とはもう会わないつもりだった。一緒に
はいられない、いちゃいけないと思っていた。
わたしたちを繋いでいたいっくんが、わたし
のせいでいなくなってしまったから。

 だけど、いまはそんなこと言ってられない。
何としても大翔が命を落とす未来を、運命を、
変えなきゃならない。

 「助けなきゃ。絶対、助けるんだ」

 わたしはきつく目を閉じると、膝を抱えて
湯船に体を沈めた。




 「そろそろ乾いたかなぁ?」

 わくわくしながらテーブルの真ん中に並ん
でいる、三つのキーホルダーを覗く。パズル
型をした樹脂粘土のキーホルダーはわたしが
作ったピンク色のを中心に、水色と黄緑色の
三つがお行儀よく並んでいる。

 「一時間たったから大丈夫じゃないかな?
うん、大丈夫そうだ。仕上げのトップコート
を塗ろう」

 ちょんと人差し指で突いて確かめてくれた
いっくんが、艶出し用のトップコートを差し
出してくれる。わたしと大翔は筆を手にする
と、それぞれのキーホルダーに丁寧にそれを
塗り始めた。



 「いまね、女子の間で仲良しアイテム持つ
のが流行ってるんだ。わたしたちもお揃いの
キーホルダー作ろうよ!」

 小学校最後の夏休みが始まってすぐ、いっ
くんの家でいつものように三人で遊んでいた
わたしは、唐突にそんなことを言い出した。

 「俺、女子じゃないし。お揃いのキーホル
ダーとかぶら提げるの、恥ずかしいんだけど」

 いっくんのベッドに寝そべって漫画を読ん
でいた大翔が口を尖らせたけど、気にしない。
大翔は天邪鬼でちょっとひねくれたところが
あるから、とりあえず文句を言うのだ。

 「いいね、それ。暇潰しになるし三人で作
ろうか。男の子が持ってても恥ずかしくない
デザインを考えようよ」

 いっくんが賛成してくれたことで、大翔の
不満は一蹴される。基本的にいっくんはわた
しの言うことならなんでも聞いてくれるのだ。
だから多数決はいつも二対一。わたしといっ
くんが、あーだ、こーだ、デザインを考え始
めると大翔もしぶしぶ仲間に加わって、わた
したちはくっつけると磁石でぴったり繋がる、
パズル型のキーホルダーを作ることになった。
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