雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

第1話 パルフェ・タムール

「今日も来てくれてありがとう! オリジナルの曲を三曲歌います。最初の曲は、I will gently embrace you(優しくあなたを抱きしめます)」目をつぶると、スピーカーからメロディーが鳴り出す。

 息を飲むように溜めながら、高々と響くトランペット。だが、寂しさを抱えて心を震える音色。その寂しさを追いかけるようにピアノが加わる。心を締め付けるように感じるドラムと、ウッドベースの心臓の鼓動のような重低音が加わる。

 テンポがゆっくりで、どこか寂しさと色っぽさがある音色。これは、雨の寂しい夜にふさわしいSlow Jazz Ballad(スロー・ジャズ・バラード)だ。


 人生初めてのライブは、世界の反対側を体全身で感じるみたいな衝撃が走った。それほどに、知らない世界だった。
 

 まだ、この時は知らなかった。彼の甘い歌声に、私の人生は染まることを……
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