雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

第5話 レンを見つめる花の女性

初めて扉を開けた日からすでに一ヶ月が経過した。

 レンは仕事中忙しくて話す時間はあまりないが、お店に来たら必ず最初に一杯作ってくれる。一週間に一度は、二階のカフェで二人で話しているが、私はいつも眠気に勝てなくて、途中で眠りに付いてしまう。それでも起こさずに目が覚めたら一緒にご飯を食べて帰るのが、毎週の楽しみだ。

 今日はりょうこと待ち合わせをしている。人生初めての友人と思えるくらい、りょうこと仲が深まった。最近私は呼び捨てで呼んでいるが、りょうこは美琴姉ちゃんと呼んでいる。

 約束の時間から五分後。りょうこが息を切らしながら走って来るのが目に入る。

「……ハァ……ハァ。美琴姉ちゃん! お待たせ。遅れてごめんね」

「大丈夫だよ。そんな待っていないよ」と言いながらハンカチで汗を拭いてあげた。

「えへへ。悪いことしたのに……良い気分になちゃった」

 
 互いに「よし!」と謎の気合いを込めると二人で扉を開ける。

「カランカラン」何度聞いても心地が良い音色。このベルを聞くたんびに、居場所に帰ってきた実感がする。

「あらぁ……美琴ちゃんとりょうこじゃない。今日は早いわね」

「りょうこ、しばらく実家に戻らないと行けないから、レンのライブが始まるまで美琴姉ちゃんといっぱい話すの」

「今年もいっぱい食べな! 今日のご飯は二人とも私のおごりよ」

「え! 私まで良いんですか」

「いいのよ! 美琴ちゃんにもいつもお世話になっているから気にしないでいっぱい食べなさい」


 ママに挨拶を終えた後、レンが立っている目の前の席に座った。
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