七夕の願い

兄の想い

エレベーターから降りると初夏の風が頬を撫でた。

「お兄ちゃん」

「ん?」

「天の川キレイかな?」

後ろにいる俺に話しかける妹の真由美は子供らしく七夕にワクワクしているようだ。

「どうだろうなぁ。一日中曇り空だったし」

「そっかぁ。残念だなぁ」

分かりやすくしょぼんとしている真由美に一瞬笑いかけたがぐっと堪えた。

事前に天気予報アプリで"夜は晴れ間があり天の川を見れるでしょう"と書いてあった。真由美に知らせたらびっくりするだろうな。

廊下を進み屋上に出ると大きな笹に子供たちが短冊をかけていた。

「真由美、短冊があるぞ!短冊に願い事書くか?」

「うん!」

傍らに置いてある会議室で使うようなテーブルに真由美を連れて行く。

「真由美ピンク好きだったよな。あとペン。はい!」

「ありがとう!なに書こっかなぁ」

楽しそうに悩む真由美を横目に俺も青色の短冊に願い事を書いていく。

「よし!書けたー!」

そう言ってペンのキャップを閉める真由美。

「なになに…いいじゃん!」

「でしょー!お兄ちゃんはなに書いたの?」

「んー……Switch2が欲しい!」

「なにそれー!本当にゲーム好きだね!」

きゃっきゃと笑う真由美を連れて大きな笹に真由美の短冊と俺の短冊をかける。

風に揺れるピンクと青の短冊。

___どうか俺の願いを叶えてください。その後もし余裕があったら真由美の願いも叶えてやってください。

「よし!真由美、上向いてみろ」

「えぇなにー?」

不思議がりながらも上を向く真由美に俺は満天の星空と共にある天の川を指さした。

「真由美のちょうど上に天の川が見えるぞ」

「えっ!ウソー!今日は見れないって言ってたじゃん!」

「ハハハ!びっくりさせてやろうかなぁって!」

「もうっ!」

ぷくっと頬を膨らませながらも嬉しそうな真由美。

俺が絶対に叶えるからな、真由美と心でそう呟いた俺だった。
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